メルファ・人形残酷(?)物語4-1
その頃…
メルファは人形部屋のドアをソッと開け、辺りを見回した。
誰もいない。
マルシアもジャックも、どこにも姿はない。
チャンスだ。
メルファは後ろにいる子供たちに声をかけた。
「ヨシ、ミンナ…馬鹿キディヲ、捨テ行クワヨ」
「ミャー…」
6人の子供たち…チュチュ、ミュミュ、ルアー、メメ、クク、スィーツたちが返事した。
(あまり、やる気のなさそうな声だが…)
キディを抱え上げるのはチュチュとメメの2人である。
メルファママが歩き出すと、子供たちは足並み揃えて歩き始める。
「ミャッ、ミャッ、ミャッ、ミャッ、ミャッ」
子供たちのかけ声だ。
ロープでグルグル巻きにされているキディ…
「おやつをつまみ食いしたから」
こう言った理由で母親から激しい制裁を受け、意識を失って全く動かなくなってしまっている。
前々からメルファは、キディが目障りだったから、思い切って捨ててしまう事にしたのだ。
甘えん坊で泣き虫…
赤ん坊みたいな馬鹿キディはもう、私の愛する子供ではない。
私の子供は、何でも自分でやる優秀な人形であるべきなのだから。
メルファの本音だと言ってイイだろう。
子供たちはかけ声かけながらキディをソロリソロリと運んで行く。
その途中…
チュチュはママの方に向かってベーッと舌を出した。
クスクス笑い出す他の子供たち。
メルファママの後ろ姿を見ながら、左に向きを変えた。
ママとは違う方向に歩き続ける。
メルファママが気が付いた時には、子供たちの姿はなかった。
慌てて、元に戻ってみる。
子供たちは玄関とは反対方向の、奥のキッチンの方へ歩いていた。
「コラーッ! アンタタチ、ドコヘ行クノ!?」
慌てて追いかけるメルファママ。