双子の姉妹。 1-6
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翌日は姉、麻琴の家庭教師。
麻琴は集中力があまりにも無いため、琴音と同じように早めに行くが、世間話をしてから勉強を始めるようにしている。
「こんばんはー」
今日も家の中は静かだ。
またDVD鑑賞か?
まあ今日は麻琴だし、俺も話に入れてもらおう。
なんのDVDだったんだろう。
そんなことを考えながらリビングに入ると、すぐ目の前で麻琴が仁王立ちしていた。
「俊哉!ここに座りなさい!」
「……はぁ?」
なぜか怒っている麻琴。
後ろでは、琴音がソファーに座ってお菓子を摘んでいる。
晩飯前にお菓子食うなとあれほど言ったのに。
その後ろではおばさんが料理をしていた。
この匂いはロールキャベツか?楽しみだ。
「俊哉ぁ!」
「……はい」
とりあえず、空気を読んでその場に正座する。
俺、年上で先生なんだけど。
「昨日の夕方、何してた!?」
なんで昨日?俺、今日と昨日のシフト間違えたか?
「昨日はファミレスにいたけど」
「正解!」
なぜかビシッと指を指される。
俺、年上で先生なんだけど。
「麻琴の勉強、今日じゃなくて昨日だったっけ?」
「違う!俊哉、昨日女といたでしょ」
「…いたけど」
「やっぱり!」
そうか、麻琴も昨日ファミレスにいたのか。
「麻琴、お前ファミレスなんて寄らないで真っ直ぐ帰って勉強しろよ」
「うっさい!息抜きよ!」
「お前は全体的に息抜きが多いんだよ」
「うーっ!」
なにをそんなに怒ってるんだ。
「どうしたんだよ、麻琴」
「俊哉が女に夢中になると、あたしの勉強が捗らないのよ!」
「…なんだそりゃ」
意味わからん。それに第一、お前は普段から勉強捗らないじゃねえか。
「お姉ちゃん、普段も勉強してないじゃん」
ナイス代弁だ琴音。そして横槍グッジョブ。
「あんたは黙ってなさい!」
「それに、せんせに彼女がいてもお姉ちゃん関係ないと思うけど」
スナック菓子をポリポリいわせながら琴音が言う。
全てお前が正しいぞ琴音。