双子の姉妹。 1-5
「バイトが詰まっててな」
「そっかぁ…なんのバイト?」
「家庭教師だけど」
「あぁー、みんなそうだよね。あたしも教師目指してるけど、家庭教師は大変そうだからやりたくないなぁ」
「うまくやれば、楽しいと思うけどな」
その言葉に香織は食いついてくる。
「へぇー、俊哉はどんな子を教えてるの?」
「双子の姉妹」
「うそ!女の子!?それって大丈夫なの?」
「大丈夫って?」
「いやらしい展開になったりしない?」
いやらしい展開…
頭の中で二人を思い浮かべる。
俊哉!喉が渇いた!下から持ってきて!
せんせ!お腹すいた!もう限界!
「ないな」
「うそ」
「ないな」
「…同性同士が普通だと思ってた」
「まあそうだけど、結構いるみたいだぜ、異性に教えてほしいって家庭」
「…そうなんだ、なんか意外」
「…まあ俺はその家族に世話になってるから、余計にそんな展開は期待できないな」
「…その双子ちゃんって可愛い?」
「…まあ、可愛いといえば可愛いけど」
考えるまでもない。
「恋愛対象にはならないな」
「あは、そっかぁー」
「いくら二つしか歳が変わらなくても、相手は高校生だし」
それが普通だ、うん。
その後は高校時代の話なんかで盛り上がって、自然に香織と別れた。
別れ際に、これからは人付き合いをよくするように、と念を押されたが。