巻き戻し 最終話-2
「えっ?」
「お付き合いさ〜」
「マジ?えっ、なんで?」
「いやーなんつーか、あの頃に戻ったというかなんつーか。巻き戻って新たなスタートっす」
「いや、分かんねーけど…。」
「ま、いいじゃん」
「ふーん…」
「そういう襷だって顔ニヤけてっけど?」
「あら、分かっちゃいました?」
「おう」
「あれよ、那由多ちゃんと仲良しの実ちゃんっ」
「そんなのいたっけ…」
「全くお前は…」
「まぁでもいいじゃん、襷も見付かってさ」
「でもあれだろ、これで那由多ちゃんいなかったら今でも機嫌悪かったろ?」
「おう」
「…ほんと、正直なやつ…。誘った俺にも少しは感謝しろよー?」
「おう。頭撫でてやる」
「マジ勘弁…」
…………
「そういえばさ、この前襷くんも言ってたけど、たっつー国連とかそっち目指した時期もあったの?」
「ん?あー…まぁね。大学行ってるなゆの前でお恥ずかしい限りですけどね…」
「そんなことないよ。でもなんで?」
「まぁなんつーか、飢餓とか貧困とか、経済格差とかなんとか、やっぱそういうのって嫌じゃん?でもそういう事に直面して毎日生き抜くことにさえ大変な人もいるのにさ、じゃあ好き嫌いでメシ残したり余らせたり金の無駄遣いしてる俺らってなんなんだろうって。だからかな…俺で良ければ、役に立てるのならって思ってさ」
「そうなんだ…」
「でも結局目先の自分の好きなもん…つまり服に走ったからさ。結局その程度だったのかなってさ。別に今の自分に不満があるわけではないけど、でも少なからず今でもそういう問題は頭の隅っこにあるんだよね」
「うん」
「だからもし将来俺がアパレルである程度稼げるようになったら、そういう貧困に苦しむ国に支援とか援助出来たらいいな、と。そのためにはまず服で成功させないといけないんだけど。まぁちょっと漠然としてるんだけどさ」
「そっか…。うん、でもたっつーらしいね」