巻き戻し 第四話-3
「え…あぁ…じゃあ…。あーあのさ、いきなりこんな事言うのもおかしいけどさ…あの…俺さ、昔、ってもすげー昔だけどさ、なゆのこと羨ましかったんだよね」
「…え?」
「いや、なんかさ、なゆって無駄に騒いだりはしゃいだりしなかったじゃん?弁えを知ってたっていうか。まぁ単に大人しいっていえばそれまでなのかもしれないけど。でも俺なんかさ、もうひたすら好き放題やってたタチじゃん?」
「まぁ、そうだったよね…」
「だからなゆみって大人びて見えてさ。今でもあそこの女の子たちよか雰囲気あるし。しかも勉強も出来るじゃん?馬鹿側の俺としては優等生タイプのなゆってちょっと憧れだったんだよねー」
「そんな…」
「いやマジで。勉強は出来た方がそりゃ得だしよ。なゆの行ってる大学なんて俺の頭じゃ到底及ばないしさ。それは正直羨ましいわ。俺は脳みそ足りないから騒いだりとかしかないしね。ってまぁいきなりこんな話して悪いね…」
ほんと、何言ってんだ俺は…。
「ううん、ありがとう。…なんか懐かしいねー…」
「あぁ…もう10年くらいも前だもんな」
「ね…。あ、あのね…」
「んー?」
「あの…憧れと言えばね…私もさ、たっつーのこと凄い憧れてたんだよね」
「マジ?」
え、マジで?
「うん。たっつーもさっき言ってたけど、私って大人しかったじゃん?たっつーはああ言ってくれたけど…でもほんとは怒られるのが嫌だったり、親がうるさかったりとか…そんな理由だったからなんだよね」
「ふーん…」
「だから誰に怒られようと叱られようとも自由にしてるたっつーが凄い羨ましかったんだ。私なんて周りからの意見とか気にし過ぎでがんじがらめだったから」
「成る程…」
「だから自分で好きな事やってさ、好きな事見付けて専門行ったたっつーにはほんと憧れるよ。私なんて殆ど親が言った通りにしか動いてないし、大学なんて学歴目当てで入ったような部分もあるしさ」
「そうなんだ…」
「だからたっつーもそうだし、襷くんだっけ?とかもさ、自分でやりたいこと見付けて頑張ってるのって悔しいけど羨ましいんだよね」
「そうなんだ…」
「うん…」