重なり合う2人-3
それは、佑介が私の弱さに付け込んだってこと?
だとしたら、そうやってここまで佑介に誘導されて来た自分が、バカみたいに思えてきた。
早く服を着て、すぐにでもこの場から立ち去るために、私は床に散らばった制服達を一つ一つ集め始めた。
―――その時だった
『待ってよ由里子っ!これだけはちゃんと聞いて欲しいんだっ!』
佑介は、刹那声を荒げ、そう叫んだが、ふと思い直したように、近くにあった毛布を広げ、寒さに震え始めた私の体を包んでくれた。
そして、何事も無かったように落ち着きを取り戻すと、私から遠ざかるように、少し離れたベッドの上に座り直した。
佑介のしてくれた行為が、余りにも自然で、それによって私の苛立った気持ちが、スッとなだめられていくのが分かった。
だから、佑介を激しく責めてしまった自分が、悪者のようで居心地が悪かった。
佑介はこんな時でも私を気遣ってくれるんだね。
そんな細やかな気遣いの出来る佑介だから、きっと私は、今まで安心して頼ってこられたんだろうな…
ふとそんなことを思った。
話したいことがあったはずの佑介に目を向けると、感情の読み取れない固い表情でベッドに座っている。
自分の手の上のコンドームをジッと見つめ、時折小さくため息をついたりして、何やら考え込んでいる様子だった。
『由里子…』
「ん?」
佑介は考えがまとまったのか、突然こちらを振り向き私の名前を読んだ。