魔性の仔Last-15
ひと月後。
寺院にある洞窟の入口に真弥は現れた。その手には、産まれたばかりの赤ん坊を抱えていた。
鵺尊が出迎え、赤ん坊を受け取ると、
「後は…頼みましたよ…」
真弥はその場に倒れた。
「どうなされましたッ!」
慌てて鵺尊は抱き起こそうとしたが、すでに事切れていた。
その瞬間、馬遥遷をはじめ、全村人が塵と化していた。
男しか産まない身体から女が産まれることは、世代交代を意味していた。
鵺尊を除き、真弥も、その子供逹も新しい“女王”の前には不必要な存在なのだ。
これから赤ん坊が子を成す身体に成長するまで、鵺尊の役目は続く。
そして再び、緋色の髪と目をした、妖しげな美しさを持った少女が純血を紡いでいくのだろう。
…「魔性の仔」last完…