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ハロウィン
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ハロウィン-2

「なぁ、つむぎ?」
「何―?」
「その作業は時間かかりそうか?」
「まあまあ」
「外行ってていい?」
「は!?」
「包丁持ったまま振り向くな!怖いだろ」
「だって慎吾君がどっか行くなんて言うから!」
「しょうがねぇだろ、暇なんだから」
「あたしが料理してる後ろ姿でも見てたらいいでしょ!?」
「何でだよ!違うって、俺は――」
「俺は何?」

包丁をギラギラさせながら嫌な空気を匂わせてくる。
今からケンカは嫌だな。
あの中途半端な状態のカボチャを置き去りにされるのは困る。

「お前、今、調理中だろ?」
「そうよ」
「だったらここで待つより外に出てた方が出来上がりの感動も大きいかな〜…なんて」

上っ面だけの言い訳なのに、つむぎは…

「えっ、そうなの?」

目をキラキラさせて急に上機嫌になる。

「慎吾君、あたしの料理そんなに楽しみにしてくれてるの?」
「え、あぁ…そりゃあぁぁ、つむぎが俺の為に作ってくれるんだから。楽しみに決まっ――」
「行ってらっしゃい!気をつけてね」
「お…おぉ」

喋ってる途中だってのに満面の笑みで送り出された。
…めんどくさい女だけど、コツを掴めば扱いやすくていいな。



10月だってのに昼間は春の様な陽気。長袖じゃ少し汗ばむ。
外出したはいいけど特に目的もない俺は、散歩がてら商店街の方まで足をのばして、

「…」

言葉を失った。

どこもかしこもハロウィン一色じゃねぇか。
カボチャのオーナメントが店頭に並べられ、窓ガラスには魔女や吸血鬼をかたどったクリアシールが貼られている。
まぁ、それはいいとしよう。
商店街の活性化になっているようだし。

でもよく食べてる何でもないお菓子をハロウィンのパッケージに変えるってどうなんだよ。そんな乗っかり方しなくても売れるだろうが。大体、そんな見え見えのお菓子業界の策略にまんまとハマる奴って…

「…いるな、身近に」

すぐに我が恋人の顔が浮かんで、少しヘコんだ。

あいつ絶対好きだ。
いつもとパッケージが違うだけで中身は一緒なのに、珍しい物食べたみたいに興奮しそうだ。


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