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お江戸のお色気話
【その他 官能小説】

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お江戸のお色気話、その1-3

この時代は、今のような照明もまともでないから寝る時間が早く、
子作りに励んでいたと言う、
故にこの時代にしては人口が多かった、
と言うこともあながち間違ってはいない。


長屋と言っても、隣との壁は体裁程度だから、
お楽しみのそんな時には
耳を澄ませればその喘ぎ声も聞こえてしまう。


(向う三軒両隣)と言われているように、いつものことでもあり
あまり気にはしていないが、それでも夜のお楽しみの話は
飲んだとき(老人の社交場)では異常に盛り上がる。


(誰それの夫婦は、昨日の晩は凄かったとか、
かみさんは(ヒィヒィ)と言いながらやっていたとか、
(今度の新婚さんは毎晩だ)とか・・
笑いながらその場を盛り上げていた。


その夜は、どういう訳か久しぶりに色気の話になっていた、
こういう話は誰でも興味があるものだ。


初めに、色気の話しを始めたのは金吉という遊び人の男だった。
昼間は金貸しの下で店の掃除をしたり、
たまに取り立てがあるときなど、
主人から任されてその金を回収するのである。


その報酬で昼間から酒を飲んだり、
その金で女を(岡場所)という
女郎部屋に買いに行ったりするような女好きな男だった。


故にあまり長屋では好ましく思われない男だった。
しかし金吉はどちらかというと、間抜けでおっとりとしており、
あまり金の取り立てには効果が期待できなかった。


取り立てと言っても四度に一度くらいの成功率で、
主人からはよく叱られていた、

それは金吉が人が良く、脅し取るような迫力が無いからでもある。
金貸しの元締めも、回収をあまり当てにしておらず、
建前上は催促をしないと
後々の貸し付けの仕事に差し支えるからである。


故にその取り立てには、
どうでもいいような金吉という男に任せていた。
勿論、当の金吉はそれを知るよしもないのだが。


この長屋の住人はそれを知っているから、
昼間から酒をのんでいて
ぶらぶらしている金吉を見ても大目に見ていた。


その日、金吉は少々の酒を飲んでいたので機嫌が良い。
それでまずその金吉が話の口火を切った。
その頃には、ご隠居の部屋には何人かの女も遊びに来ていたので、
金吉は少し得意になっていた。


「あたしは、この間旦那様から言われて、
いつものように借金の取り立てに行ったんですよ」

こう話し始めても、初め皆は余り乗り気でないようだった。

「それが、その借金の取り立て先は、
元お武家様の母娘が住んでいるという家だったのですが、
初めあたしはちょっと嫌だったんですが、敷居が高いし
こういうのは苦手だしね」

そう金吉が言い始めると、
皆は興味深げに金吉の話に耳を傾け始めた。


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