秘密〜文化祭〜-1
月日は流れ、文化祭が近づいていた。
夏休みは、というと…
篤也やえみ、中高の友達と遊びつつ、課題をこなしたり、バイトしたりと、何かと忙しい毎日を送っていた。
あれ以来、陸先輩から時々電話がくるようになった。
篤也といる時にも、かかってきた。
別に、やましいことはないし、むしろ出ない方が篤也を不安にさせると思って、篤也に断りを入れてから電話に出たりした。
ただ、陸先輩に篤也っていう彼氏がいるってことをちゃんと言えないことが、篤也に申し訳なかった。
篤也も、何故言えないのかわかってくれた。
でも、私が陸先輩と話してる間、何だか寂しそうで…電話を切ると、いつも謝った。
すると篤也は
『いいんだよ』
って、笑ってキスをしてくれた。
陸先輩からの電話に、毎回出られるわけじゃなかった。
電話に気付かなかったり、バイト中だったり…
そんな時は、こっちからかけ直した。
別に大した用もなくかけてくるのはわかってた。
でも、無視するのも悪いかと思って…
そして、私からかけ直しても、いつも出なかった。
私が切ってから、陸先輩が再度かけてきた。
それが、私の胸を締め付けた…
それから、気になることが一つ。
陸先輩は、えみには電話したことがないらしい。
これは、えみから直接聞いた話だから間違いない。
何故、同じ部活の後輩で、同じくフリー(私はフリーってことにしてるけど)のえみには電話せず、私にするのか?
私はそんなに、からかいやすいのか?
それとも…
変な誤解を、してしまいそうな自分がいた…
夏休み明け最初の部活で、部長のみー先輩から文化祭の話がでた。
「今年のウチの展示場所はラウンジ。
一人一枚、計五枚のパネルを用意して貰ったから、それぞれ好きなように使って。
ただし、壁に沿ってパネルを置くらしいから、片面しか使えないの。
そこんとこ、よ〜く考えて写真選んでね」
「「は〜い」」
私はどんなのにしようか、ワクワクしていた。
文化祭は10月最後の土日。
それまでに写真を撮らなくちゃ!
「よしっ出来た!」
私は部室の奥に作られた暗室から出た。
手には現像した写真を持って。
文化祭で展示する写真だ。
後はこの写真を、ハートや星型、回りをクラフトバサミで切って、コメントを書いた紙と共にパネルに貼れば完成!!
「ふふっ」
私は写真を手に、にやけた。
私が今回撮ったのは、猫。
篤也の家や友達ン家の猫を撮らせて貰ったの。
どのこも皆可愛くて、楽しかった!