SEXの条件・学級委員長 川崎静奈 C-4
「なんで止めるの……?」
「………え?」
すがりつくような目に、涙がいっぱい溜まっている。
「私……下手だった?……」
思い詰めた口調で言いながら、再び下着に手をかけようとするしず。
「いや……んなことないけど……」
むしろその逆や。
「……他の子とは出来ても……私とは出来ないってこと?……」
「………しず」
そうか……
そういうことやねんな………。
しずがこれほどフェラチオに執着するのは、教室で雪乃との行為を見たからやということに、俺はようやく気がついた。
今まで気付かなかったしずの思いが、じわっと俺の胸を圧迫する。
――いや、本当は随分前にわかってたんかもしれんな。
ガキの頃から転校ばかり繰り返してきた俺は、誰かと深い人間関係を築くのが怖かったんやと思う。
広く浅い付き合いしかせえへんかったら、また転校せなあかんようになった時自分が傷つかへんで済む―――。
それはおびただしい数の出会いと別れを繰り返すうちに、いつの間にか身についてしまった俺なりの防衛手段なんかもしれん。
多分、しずのことを「ええ奴やな」と思ったあの転校初日から、俺はわざとしずを女として見いひんようにしてきたんやろな―――。
俺はアホや……。
俺がこんなに臆病者やなかったら、もっと素直にお前に惚れることが出来たんかもしれん……。
ごめんな、しず。
お前は……いつからそんなふうに思てくれてたんやろな……。