やっぱすっきゃねん!VK-22
「コーチのメニューは完璧だと思います。でも、もし県大会で使いモノにならないなら、わたしは一生後悔します。
わたし、後悔したくありませんッ!」
その覚悟。永井の中に恥ずかしさがこみ上げた。
かつて、自らが甲子園を目指した時でも、これほどの思い切りは出来なかった自身に対して。
「具体的にどうしたいんだ?」
永井の問いかけに佳代は即答する。
「今までの倍は投げ込みさせて下さいッ。とにかく、真っ直ぐのキレを戻したいんですッ」
「それで、肩やひじが使いモノにならなくなってもか?」
最後の確認。が、佳代の言葉に躊躇いはない。
「後悔しませんッ!」
真っ直ぐ永井を見る目には、強い信念に彩られていた。
その瞬間、永井の肚は決まった。
「ヨシッ!今日から80球の投げ込みを許可する」
「ありがとうございますッ!」
再び頭を下げる佳代。が、永井は釘を刺すのを忘れなかった。
「但し、2日投げ込んだら1日休ませろ。それから、ちょっとでもおかしい時は申し出るんだぞ」
「分かりましたッ!」
佳代は永井に一礼すると、ブルペンに向かって駆けだした。
「下加茂ッ!やるよッ!」
その笑顔は、すべてをふっ切ったような力強いモノだった。
…「やっぱすっきゃねん!V」K完…