やっぱすっきゃねん!VK-15
夕方。
西に日が傾き、空が飴色に染まりだした。
「結局、見つからなかったか…」
直也の自宅前には、10人の仲間が集まっていた。
直也に達也、それに淳、稲森、修は、昼食を摂りながら捜索方法を話し合った。
結果、3年生部員全員に連絡して捜索範囲を拡げることに決まった。
そこで連絡を取って、どうにか5人が掴まり、午前中の倍、10人で捜すこととなった。
それから5時間、各人、あらゆる場所に出向いたが、誰ひとり、佳代を見つけられなかった。
「まったくッ!何処に行っちまったんだ!バカ姉ちゃんはッ」
修は強く足を踏み鳴らす。苛立たしさと焦りがそうさせた。
「そう怒るな。それより、今後をどうするかだろう」
慰めとも、咎めともとれる言葉が上級生からかかる。
「後はおまえの両親次第だな」
達也が云った。間髪入れずに直也が訊き返す。
「どういう意味だ?」
「オレ達に、これ以上の捜索は無理だ。まして、明日からは練習が待ってる。あとは親御さんが警察に捜索願いを出すべきじゃないのか?」
冷静に分析して結論を出す達也。その態度が直也は気にくわない。
「おまえッ!仲間が居なくなったんだぞ!明日の心配してる場合かッ」
怒声が飛んだ。が、達也はいたって落ち着いている。
「すまんが直也。オレは明日を優先するよ」
今のひとことで、直也の怒りはピークに達した。
「佳代は仲間じゃないのかッ!ソイツが居なくなってんだぞ」
「おまえの気持ちは分かるよ。でも、オレは青葉のキャプテンなんだ」
「きさま…」
互いの双眸が睨み合った。
今にも掴みかからんとする2人の間に、修は飛び込んだ。
「ふ、2人とも止めてッ!悪いのは姉ちゃんなんだからッ」
その目は涙で濡れていた。