祐介の挑戦-8
「あいつがそう思ってなくても?」
俺はゴクリと唾を飲み込み、恐る恐るそう聞いた…
今、震えてたか…俺の声?!
『佐伯がそう言ったのか?!』
―――うわっ、ヤベェ食い付いてきた!しかも…なんだ、その意外そうな顔…
佐々、テメェ由里子の気持ち分かってたんじゃねえのかよ!!
「だから…あいつは今でも、せんせーのことしか見えてねぇよ!」
俺はイラっときて、思わずそう口にしてしまった…
ヤベェ―――
佐々の顔つきが、一瞬にして勝利者のそれへと変わった。
あ―――、俺余計なこと言った…
佐々は俺の横を颯爽とすり抜け、保健室のドアを開けると中へと消えた―――
俺はしばらくその場に立ち尽くしたまま、黙って佐々の背中を見送ることしか出来なかった…
俺…アイツに負けたのか―――?
あの日教室で起きたこと
―9ヵ月の軌跡― G
「佑介の挑戦」―完―