祐介の挑戦-2
由里子と別れたあの日から、俺の中で由里子の存在はどんどん大きくなるばかりだった。
そんな気持ちをふっ切る為に、言われるがまま何人かの子と付き合ったこともあったけど、誰一人として俺の心の隙間を埋めてくれる子はいなかった。
何で俺には由里子じゃなきゃダメなのか?
何度も何度も考えてはみたけど未だに答えは出ない。
ただ…由里子といるだけで、俺のまわりを取り巻く空気が優しくなり心地がよかった。
ガキみたいなこと言うようだけど、由里子さえ側にいてくれたら、俺は何だって出来そうな気がする。
由里子がさっき、佐々の話を聞いて気分が悪くなったこと―――気付いてたけど認めたくなくて心の中で打ち消した…
由里子の瞳の奥には、俺じゃなくていつも佐々がいることも…
せつねーな…
♯♯♯
『由里子気分はどう?』
「うん、もう大丈夫!」
『んじゃ、次乗ろうな!』
「うん!」
俺は、由里子の肩まで伸びたまっすぐな黒髪を指ですき、そのまま頭をかかえて胸に抱いた。
由里子は嫌がらず、じっとそのまま俺の胸に体を預けていた。
俺が無条件に由里子受け入れるって言葉に、ウソはない―――
ただ―――俺に気持ちが無い由里子をこうして抱くのはやっぱツライわ…
こぼれ落ちそうな涙に気付かれないよう、俺はそっと空を見上げた。
抜けるような…青すぎる秋の空が、余計に俺をせつない気持ちにさせた…