浦島太郎-2
目の前で繰り広げられる考えられない光景。
乱交とも取れるその行為は、様々な男女がただ交わっているだけではなかった。
ある者は相手を殴りながら、ある者は蹴りながら、またある者は親指で目玉を抉りだし、それを楽しげに自らの口へと運んでいた。
地獄絵図。
目の前の光景は、地獄を模しているのではと思いたくなる程の異様さに満ちていた。
さながら此処にいる人々は地獄の住人。
自分の欲求を満たす為なら、相手がどうなろうとも構わない。
喘ぎと悲鳴が入り交じる混沌とした世界を黙って見つめる男の手に、突然ひやりとしたものが絡み付いてきた。
反射的に手を引っ込め、男は二歩後退る。
見れば、黒髪の美しい女が一人、男に向かって手を差し伸べていた。
男の鼓動が、これでもかというくらいに高速で鳴り響く。
呼吸も乱れ、はぁはぁと口から大袈裟な息が漏れる。
どくんどくんどくん。
気付いたときには、男も地獄の住人と化していた。
自分の欲求のまま相手の身体を貪り、衝動のまま相手の身体を痛め付けた。
男の下で悦がる女の黒髪を掌一杯でぐわしと掴み、そのまま力任せにそれを引っ張る。
ブチブチと女の頭から音が聞こえた。
金切り声が女の口をついて出てくる。