メルファ・人形残酷(?)物語3-1
この時だ。
「ジャックぅ〜」
誰かがジャックの背中に抱き付いて来た。
振り返ってみると、メルファと同じ背丈の女性の人形の姿があった。
栗色の長い髪に小さめな顔、やや細眼の…
ちょっと、不良っぽい感じのギャル系。
「なあーんだ、ルーシーじゃあねえか」
笑顔になるジャック。
人形協会で働く人形ルーシー・ロバーツ。
スザンヌの所属する人形生活課の1人である。
「久しぶりねジャック! 元気だったァ!?」
ルーシーはジャックの前に回って膝に馬乗りになり、抱き付く。
「こらルーシー! 今は大事な話し合いをしてるのよ、あっちへ行ってなさい!」と、スザンヌが注意するが…
「イイじゃなーい!
久しぶりにジャックに会えたんだからァ!」
ルーシーはジャックから離れようとしない。
人間の友達であるジャックの顔が見れて、ルーシーは上機嫌なのだ。
「ハハハ、相変わらずのやんちゃだなお前?」
久しぶりに見る元気なルーシーに、ジャックも笑顔が出ている。
「まあね!」
「しょうがないわネェ」
ルーシーの相変わらずのやんちゃぶりにスザンヌは呆れるが、そんなに強くは文句言ったりはしない。
ルーシーは昔、ジャックに何度も助けられた事もあった。
それ以来、ジャックを凄く慕っているのだ。
ルーシーの目を見るとイイ。
イキイキとして、輝いている事。
「仲がイイわい」
ボックルも、厳しくは注意したりはしない。
こうやってハシャぐルーシーも、任務の時は別人のように行動する。
「ルーシー、久しぶり」
マルシアがルーシーに声をかける。
「マルシア様も」
マルシアの頬にキスするルーシー。
マルシアからも、ルーシーは何度も助けられた事か…。