不安に溺れて-5
それはもちろん私の本心ではなかったけれど、そのことを佑介は拒絶と受け取ってしまった―――
そのことに佑介は深く傷つき、それがきっかけで私の元を去ったのだ。
そして最後の別れ間際、さっきの言葉を口にした。
私は大好きだった佑介が、自分の元を去っていく哀しみに、何日も泣いた…
それと同時に、自分の運命を強く呪った…
「…うん、思い出した」
『由里子に何があって、そこまで苦しむのか俺は聞かないけどさ… 今の由里子の目は、あん時の哀しそうな目と同じで、俺はほっとけない… あん時、俺は由里子を手放してしまったけど、あれからずっと後悔してた―――』
「佑介…」
佑介の思いもよらない告白に、私の胸はトクンッと弾んだ。
『由里子、退院決まったって言ったよな?』
「うんっ、日曜日」
『じゃあ、月曜の朝、由里子んち迎えに行ってやる。一緒に学校いこっ』
「うんっ…ありがと」
『…ったくよー。由里子は信じないかもしんないけど、俺、結構もてんだぜ!!その俺を振り回すのは、由里子くらいのもんだよっ』
「バッカじゃないの、佑介…?!」
私達はひとしきり笑い合い、“おやすみ”を言って電話を切った。
この夜…入院してから初めて睡眠薬を飲まずに、朝までぐっすり眠った。