狂気の朝-5
義父は醜い行為に夢中で、俺が部屋に入ってきたことにすら、まだ気付いていない…
俺は沸騰した血液を全身にみなぎらせながら、一歩一歩ベッドに近づいた。
そして、怒りに震えるその腕で、義父の髪を掴みベッドから引きずり下ろすと、下顎に照準を合わせ、勢いよく右足の蹴りを一発食らわせた。
『グアッ・・・』
義父は低くひと声呻くと、首をあらぬ方向へと曲げた。
(おそらく下顎の骨が砕けただろうな―――)
ひしゃげたまま閉じなくなった口からは、赤い血しぶきと共に白い泡をブクブク吹いている。
見開いたままの目は、白目を剥いたまま動かなくなった。
そして、体はそのまま床の上に、グニャ…っとだらしなく伸びていた。
どうせなら、もう一発見舞って息の根を止めてやりたいくらいだったが、コイツに構っているよりも先に、俺にはしなければならないことがあった…
ガシャ―――ン!!
ベッドの上の由里子に向けられたいまいましいカメラを、その足で蹴り倒すと、由里子の元へと駆け寄った。
『おい由里子っ―――お前…一体何されたんだよ―――っ!!』
俺はまともに由里子の姿を見ることがためらわれた。
ひとめ見ただけでも、全裸にされ力なく横たわった由里子の姿は痛々しく、どれだけひどい性的蹂躙を受けたのかが、想像出来る状態だったからだ。
青白く精気を失った顔は意識がないままに唇を震わせ、体は小刻みに痙攣を繰り返している。
強い力で噛みしめることで、恐怖と苦しみに耐えたのだろうか?
―――下唇は赤紫色に腫れ上がり、裂けた薄い皮膚から、血の筋が顎の下まで続き、首元には乾いた赤黒い血液がこびり付いていた。
両頬には、幾筋もの乾きかけた白い涙の跡―――
そして、体中に付けられたおびただしいまでの赤い印―――