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ハロウィン
【片思い 恋愛小説】

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ハロウィン-6

「お待たせしました、ブレンドコーヒーです」
「ありがとう」
「……どうして気付いたんですか?」
加奈子ちゃんは僕に小さな声で問いかけた。
「昨日、偶然小学校の卒業文集を見たんだ。その中の加奈子ちゃんのページになぜかしおりが挟んであって、小学校の思い出にハロウィンって書いてあった。誕生日も5月18日って書いてたから。それで思い出したんだ」
「……恥ずかしいなあ、そんなこと書いてたんだ」
加奈子ちゃんは照れたように笑った。
「ずっと気付かなくてごめん」
「いいの、私と亮くんってそれくらいしか繋がりがなかったから」
「…加奈子ちゃんはいつから気付いてた?僕があのときの僕だって」
「初めてこのお店に来てくれたときからだよ。面影もあったし。本当に会えてうれしかった。奇跡だと思ったし、夢なんじゃないかと思った」
「僕だって、一目惚れした相手が加奈子ちゃんだなん……」
「えっ?」
なんて失言をしてしまったんだ僕は。

加奈子ちゃんは顔を真っ赤にしている。
「はは…ごめん」
僕も恥ずかしくなって目を逸らす。
「…そうだ、亮くんちょっと待っててね」
「あ、うん」
加奈子ちゃんは急ぎ足でカウンターのほうへ向かった。
しかしすぐに戻ってくる。
お盆に何かを乗せて。

「はい、これ」
「え?」
僕のテーブルには、いい香りのするデザートが置かれた。
「パンプキンパイ、美味しくないかもしれないけど、私が作ったの。亮くんに食べてほしくて」
そのお菓子はハロウィンにぴったりだった。
「ありがとう、加奈子ちゃん」
「こちらこそありがとう、亮くん」



そうして二人は、声を揃えてこう言ったんだ。





トリックオアトリート!





end



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