ハロウィン-4
その日の夜、今日読み終えた本を本棚に仕舞っていたときのことだった。
「うわっ」
その拍子に本棚の隅に縦に積んでいた本がバラバラと床に散らばってしまった。
「…あーあ、片付けるの大変だ」
そう呟いてからしゃがみこむ。
結構おおざっぱなところがあるのは自覚しているけど、なぜ本棚なのに本を縦に積んでいるのだろうか。
くだらないことでまた自分に嫌気がさした。
どうやら普段読んでいる小説などではなく、昔のノートや文集なんかが主に散らばってしまったらしい。
どれも普段は手に取らないものばかりだった。
「…」
その散らばった本の中で、一冊の小冊子に目がいった。
「懐かしい、小学校の卒業文集だ」
こんなもの、よく今まで取っていたものだ。
苦笑いしながらそれを手に取り、パラパラとページを捲っていく。
友達の自己紹介を読んでいくと、小学校のときの思い出が少しずつ蘇ってくる。
僕自身のページを読むと、今では考えられないような恥ずかしいことが書いてあって、なんだか嫌になるけど。
そして、あるところでページを捲る手がピタリと止まった。
「…ん」
そのページにはしおりが挟んであった。
もちろん挟んだ覚えなんてないのに。
気になってそのページに目を通していく。
「……ああっ!」
忘れてはいけない、大切な思い出がそこにはあったのだ。
僕はその瞬間、全てを思い出した。