メルファ・人形残酷(?)物語-6
「ミャミャー」
すぐにママだと認識したレレは、メルファに向かって両手を上げた。
レレを受け取ったメルファはジッと、その子を見つめた。
部屋の中では、他の子供たちが楽しそうにハシャいでいるのが見える。
「サァ、この子もみんなの所へ連れて行ってあげなさい」
マルシアからこう、促されるとメルファはニッコリと微笑んだ。
「ゴメンナサイネ、寂シイ思イ、サセチャッテ」
レレの頬に接吻し、そのまま足元に置く。
レレは嬉しそうな表情で他の仲間の所へ行き始めた。
…が!
ぐしゃあんッ!!
部屋の中へ入ろうとしたレレを…
事もあろうに、メルファは上から足で踏み潰してしまった!
「メルファーッ!?」
悲鳴上げたマルシア。
メルファは何も言わず、涼しい顔して部屋の中へ入ってドアをバタンと閉めてしまった。
カッとなったマルシアは中へ入ろうとしたが、中から又、カギを掛けられしまっている。
何度も何度もドアを叩くが、メルファから何の返事もない。
呆然と、その場に座り込んでしまうマルシア。
目の前には…
ペシャンコに潰れてしまったレレの変わり果てた姿があった。
「ぐちゅっ! みゃ…みゃ…!」
微かに動いている。
何て、惨い事を…
「奥様、ただいま帰りました」
背後から男の声がした。
振り返ると、町へ買い物に行って来た使用人のジャック・グロリアスの姿があった。
「ジャック…」
呆然となるマルシアの顔を見たジャック…
レレの方に視線を向けて暗い表情を見せた。
「奥さん、これは」
「アナタの心配していた通りになったわ」
「これは、先が思いやられますな」
部屋の中は暖かい雰囲気に包まれていた。
マルシアやレレの前では冷たい表情を見せていたメルファだが…
子供たちの前では優しいママの表情である。