メルファ・人形残酷(?)物語-3
それから1週間後…
クルー家宅に念願の人形の子供たちがやって来た。
人形幸せ工房から夢の玩具宅配便で届けられたのだ。
2頭のトナカイロバに引かれてやって来た金色の宅配便車。
ピエロもどきの陽気な配達人ブラッドベリーが車を下りた。
「おっ待たせしましたァーッ! 可愛い子供たちのご到着でーす!」
軽快な音楽が流れる中、ブラッドベリーは車の扉を開け始めた。
「私ダケノ、子供タチ! 楽シミ!」
ワクワク気分のメルファ。
「ではどうぞ!」
中扉のスイッチを入れるブラッドベリー。
カランコロンと鐘が鳴りながら、中扉がゆったりと開き始める。
メルファは高まる気持ちを押さえながら、中を覗き込む。
布貼りの室内に沢山の小さな人形たちがくつろいでいた。
一斉に、メルファに視線を向ける。
皆、メルファを幼くしたような作りの女の子の人形たち。
クルリとした眼が、とても可愛い。
「コンニチハ、私ダケノ、可愛イ、子供タチ」
「…」
子供たちは目をパチクリさせながら、メルファを見つめる。
両手広げるメルファ。
「私ハ、ママヨォ。ミンナノ、ママヨォ」
すると、子供たちの表情に変化が出て来た。
メルファを母親と認識したのか…
「ミャミャ(ママ)ーッ! ミャミャーッ!」と目を輝かせて大喜び。
子猫の鳴き声のような声のトーンである。
子供たちは笑顔でピョンピョンと飛び跳ねる。
「サァ、ミンナ、私タチノ、オ部屋二、入リマショウ!」
「ミャーイ!!」
どうやら…
子供たちはミャ…しか発音出来ないようだ。
一斉に、ぞろぞろと外へ出て来る子供たち。
メルファママと一緒にワイワイ言いながら、部屋に入って行く。
「可愛いわネェ!」
マルシアも大喜び。
これからの共同生活が楽しみになって来た。
ブラッドベリーが書類を用意した。