ラブホーム-娘--3
「あばー、マンマー。アー」
ほらー、娘が喋ってんよー?
君たちにとっての天使が一生懸命喋ってんよー?
「あぶぅ。マムー、あうあむぅ」
片言だけどねー。て、あれ?
何で…何で、気付かないのー!?
いっつもそうですよね、あんたたち。
私が夜に起きても一番最初に駆け付けてくれんのはキャシーとゴエモンだもんね。で、キャシーとゴエモンがあやしてくれるもんね。
ちなみに、キャシーとゴエモンって猿の親子のことね。この家の永久フリーパス持ってんかんね。
「あ」
「え?」
ん?
急に言い合いが止まった。父ちゃんが止めたの?
「ああ!」
「ええ?」
んん?
何だろ。どうしたの…。
「おま…、目ぇ、真っ赤」
「…ええっ!」
何ー!?
ほらー、眼球気にしないからー!
腹ばっか気にしてるから、一番ヤバいとこに気付かないんだよぉ。
「ごめん、ごめんな、甜華。そんなに痛かったか」
「え?へ?あ、うん…痛い、くなってきた…かも?」
超アバウトじゃん。
それ対して痛くないでしょ。
意識し出して痛いような気になってるだけでしょ。
「ほら、鏡、鏡」
「ありが…ギャアァー!痛いー!」
え、急に?
にしても、確かに母の目グロテスク…。
「いやあぁ…。明日、どうしよう…どうやって外に出よう…」
「ほら、アレあったろ?」
「アレ?」
「アレアレ。目にガーゼで耳に紐で、こうするやつ」
「あ、アレか!」
「そう、アレ!」
「アレでしょ?えと、んと、ガンタン!」
「そーそー!ガンタン!」
…ていうか眼帯でしょ?年明けてどうすんの?
「だね、カッコ悪いけどガンタンするわ」
「そうだな、ガンタンしとけ。なんか本当ごめんな。ガンタンするほど…俺…」
うわぁ、ガンタンで会話が成立してる。