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……タイッ!?
【学園物 官能小説】

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……タイッ!? 第四話「暴きタイッ!?」-51

「先輩……」

 ちらりと久恵を見ると、彼女は身体ごと彼にむいていた。

「ねえ紀夫君?」

 笑窪の出来たはにかみスマイルと優しい目を少し眠そうに垂れさせた瞳。少し首を
傾げたら、それは憧れを持って接すべく年上の女子の顔。

「はい」

 唾を飲む暇もなくずいと近づく顔。
 彼女は月のようなもの静かな女性。けして美人の分類には達しない、そんな存在。
だったはずが、夏休み用のメイクとオシャレがそれを払拭していた。
 だからこそ、期待していた。
 あのとき交わした不文律。
 今こそ続きを望む……、望みたい、望みたかった……。

 ――俺は……きっと恋してるから……。

 性的な欲求と芽生え始めて間もない恋慕。
 夏休みが終わったら、いや、合宿が終わったらもうついこないだまでの二人、憧れ
と依存の関係には戻れない。これからは、きっと……。

「君、すごく臭いよ。スイカを置きっぱなしにしたときみたいに臭ってくる……」
「す、すみません……」

 久恵がベッドにダイブしたあと、紀夫は一人バスルームへと向った。

**

 バスルームの扉を開くとまず眼に入ったのはトイレ。そしてガラス戸で仕切られた
お風呂場が見えた。
 一応トイレと風呂場は別れているものの、これではユニットバスと変わらない。一
人がお風呂に入っていたらトイレが使えないのではと笑ってしまう。

 ――あ、そうか……。

 ここがどこだか理解した紀夫は愚かな疑問と苦笑する。
 シャツごとワイシャツを脱ぎ捨て、汗を吸ったベルトを外してズボンも脱ぐ。畳む
のは面倒くさいので濡れないようにタオルのカゴにいれる。

「ふぅ……でもま……、いっか……」

 ひとまずシャワーを浴びながら、彼は今この状況を整理しようと試みる。
 不自然に大きな姿見には疲れた自分が映り、この後の展開に期待する息子がビンビ
ンに立っているが、泣き出す前に冷たい水をかける。

 ――煩悩退散……。俺……は、里美さんを……きっと……。

 熱いシャワーがシャンプーを流していく。ボディソープの安っぽい匂いも気になら
ない。
 たかがキス。されどキス。
 言葉を発するためのもの。気持ちの出口。

 それも歪な。

 歪な形にして。

 誤解を生まない言語。

 誤解を生む言語。

 それが……。


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