……タイッ!? 第四話「暴きタイッ!?」-5
「あ」
「きゃ!」
なのに、手が、指先が触れた瞬間、茶碗を落としてしまう。
「ゴメン」
「きにしなくていいよ」
床に落ちた茶碗はベークライト製のため、割れることはない。それでも汁の残りが
床を汚すので、理恵はふきんでそれを拭く。
「ノリチン、緊張してたとか?」
「いや、別に……」
緊張はしていない。
ただ意識が過剰だった。
理恵の申し出についていけばセックスができる。
そんな下心。
現実には洗濯機を回し、朝ごはんを食べた程度。それだけでもよかった。
が、
指先が触れたことで思い出した。
理恵の誘い。
「ノリチンも可愛いとこあるよね。まだ女の子馴れしてないんでしょ?」
彼を見ずに四つん這いになって懸命に床を拭く彼女。茶色に染めた髪が揺れる。寝
巻きのようなジャージ姿、お尻のラインがくっきりと見える。
……ショーツは?
「理恵さん……」
「何? あ、ゴメン、ティッシュ……」
テーブルの上にあるボックスを彼女の前に放り投げる。
「ありがと」
理恵がそれに近づいたとき……。
「理恵!」
「きゃあ!」
紀夫は理恵におんぶされる格好で引っ付く。
彼がそんな大胆な行動に出た理由。
それは理恵が少しお尻を上げたから……。
「やん、もう、ノリチン……ばかあ……」
「もう我慢できない……」
腰の辺りを理恵のお尻にこすりつける格好の紀夫。横からみればそれは犬の交尾そ
のもの。牝犬は嫌がる言葉を出しながらもお尻を突き上げ、キスを求めようと背を捩
る。
「そのつもりだったんでしょ? いいじゃん。俺、理恵としたいし……」
「んもう、スケベ……それじゃあたしがエッチな子に聞こえるじゃない……んちゅ」
「はむ、はぷ……ん、理恵はスケベな子だよ。だって、もう……」
ジャージの隙間から忍びこむ右手。紐のようなショーツはそれを阻むことなく通過
させ、妙な湿り気のある部分へとたどり着く。
「ん、もう……あ、はいってきた……」
手を洗った覚えはない。けれど勢いづいた紀夫を止めるものもない。ここは二人だ
けの空間なのだから。