恋の予感-8
『先生も…バイバ―――イ!!』
廊下のだいぶ向こうの方から、先生に向けて叫ぶ、ちなみの声が響いた。
『ったく…あいつは相変わらずだなっ』
普段はクールな先生も、ちなみの慌てぶりには、顔をほころばせていた。
『ちなみ行っちゃったけど…キスもう1度する?』
先生は私の瞳を見つめながら、指先で私のあごをすくった―――
先生の灰色の瞳に吸い込まれるように、私はそっとまぶたを閉じた…
あの日教室で起きたこと
―9ヵ月の軌跡― プロローグ
「奪われた唇」―完―