侍BOYS!!〜一番ヶ瀬高校剣道部〜No.2-3
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「…は?」
「だからっ!前橋コーチが転んで骨折したんだって!!」
いまだに大振りジェスチャーで一大事を訴え続ける顧問・小林。
「や、骨折はわかったんですけど、その後はないんですか?どこの病院に入院してるとか、全治何ヵ月だとか…」
「お?おぉっ!確か、中央病院に入院してるって言ってたな!」
「それで?」
「全治はわからん!」
「…」
ギャグなんだか真剣なんだかわからない真顔で言う小林に、部長はやや呆れ気味。
一部始終を聞いていた樹と良平は、顔を見合わせた後、一つ溜め息を吐いた。
「…あーぁ。やっぱね、いつかなんかあるんじゃないかって思ってたけど、このタイミングは絶妙ね」
「そっすね…。全然自分の身体労ってなかったすもんね」
その2人の会話を前で聞いていた柊達3人は、話の全容があまり掴めずにいた。
骨折している、と言っているにも関わらず、何なんだこの落ち着きようは。まるで予想していたとでも言いたげな程だ。
「あ…あの…、先輩?」
「!!お…お前…、後輩か?」
「は?はぁ…、まぁそうっスけど…」
事の詳しい次第を聞こうと、柊が良平に話し掛ければ、良平は感慨深げに天を仰いだ。
「先輩…、いい響きだ…」
「…はぁ…」
「それでどうした後輩!俺の事がもっとよく聞きたいか?よーし教えてやろう!俺は長谷川良平もうすぐ17歳!血液型はO型!好きな食べ物はカレーパンだ!」
「…」
だいぶどうでも良い。