超最強嫉妬彼女 後編-1
「あっはははは!」
「危ねえ!暴れんな!」
チャリに跨って軽快に急な坂を下る。
後ろには花耶を乗せて。
ばかみたいに軽いこいつは、ちょっとした衝撃で吹っ飛んでしまいそうだ。
「公也、もっと飛ばしてよ」
「なに言ってんだ」
坂を終えると、花耶は後ろから俺の背中を叩く。
「もっかい!もっかい坂登って!」
「ふざけんな!もう三回目だ!」
俺は何度も坂を登ってかいた汗を拭いながら言った。
***
花耶と付き合い始めて一ヶ月が経った。
花耶は相変わらずめんどくさいやつだが、これでいいのかもしれない。
もちろん、花耶といると楽しい。
だがそれ以上に、花耶は大切なことに気付かせてくれた。
今まで全く考えていなかった女の気持ち。
花耶は驚くほどに嫉妬深くて、そりゃうんざりするときもある。
だが、だから花耶は嫉妬することで考えていることや気持ちを目一杯表してくれる。
それをいつも直接受ければ、嫌でも女の気持ちを考えることになる。
それに俺は案外、花耶のそんなところを好きになったのかもしれねえな。
普通じゃ考えられないぜ。
遊び人の俺が、こんな女と付き合うなんてよ。
***
「うぃーす」
「おはよー」
二人して教室に入ると、まだ疎らしかいないクラスメイト達は皆、おはよう、と声をかけてくる。
これも花耶と付き合って変わったことだ。
いつぞやの噂はすっかりなくなり、少しずつ、俺と花耶の関係を公認するやつらもでてきた。
そりゃ付き合ってすぐの頃は酷かった。
俺が花耶を振ったとき以上に周囲はざわつき、陰口が絶えなかった。
だが、花耶はある日言い放った。