LAST DAY-8
違う、死んだのはさくら。そうよ、さくら。もみじじゃない。だって、だって私はちゃんとさくらの方を、
「明日で終わる。だから、私は、やっと殺すことができる」
「も、みじ……?」
不安になって呼んだ私を、とても、とてもとても悲しそうな目で笑って、もみじは制服のズボンのポケットに手を入れた。そうして取り出す、先の尖った、
「ばいばい、お母さん」
その刃の先がもみじの腹に勢いよく突き刺さる瞬間を見た。何の音もなく。埋め込まれて、消えていく切っ先。そして、そしてもみじはぐらりと揺れて、仰向けに、どさり、と、
「あ、あ、あ……ああああああああああ!!」
じわじわと赤いものが地面に流れ出すのを見ながら、私は、私は、
考える。もみじは最後の日に、誰を、殺したのだろう。