放課後のMくんとSさん。-1
だー....
暑い!!!!
季節は冬。放課後の体育館は、何か突き刺さるような冷たさをしている。
ひんやりどころじゃない。
それでもアップの時点でもう暑くてたまらないんだから、イヤになる。
俺は持久力も瞬発力もそれなりにある。バスケは小学校の頃からしていてそれなりに好きだ。
いまはまだ1年だしレギュラーにはなれてないけど、これでも一応センターを狙っていて、1年では一番見込みがあるとまで言われている。
自慢入ったけど。笑
でもこの暑さはどーにもならないモンかねー....
俺ら男バス部員は、部活が終わってとりあえず体育館を出て水道水を飲みに行くと、毎日ミーティングをする。
つっても毎日そんな話し合う内容がある訳なく。
要は着替えながらの雑談だ。
まぁいーや。とりあえず水だ水。
マネージャーはちゃんと用意してくれてるんだけど、それだけじゃ足りねー....
体育館を出て、水を飲みに行こうとみんなで歩いていた時、左隣を歩いてたヤツに肩をトントン、と叩かれた。
なんだ?と思いそいつの方を見ると、そいつは遠い目をして俺のずっと奥を見ている。
は?なに?
俺も反対側を振り返ってみると....
『あの....みっくん!!!!』
―――高遠!?
え、なんでここに!!なんで!?
てかこんな時間までどこいたんだ!?
放課後ある程度時間が経つとストーブが消えてどの教室もサムくなる。
からだ動かしてる俺らとは違って相当寒かっただろう。両腕をからだにぴったりとつけて、手はぎゅっと力強く握られている。
おまえ....部活時間っつったら2時間あるんだぞ?
そんな中、コートも着ないで待っててくれたのかよ....
「あれっ高遠じゃん。こんな時間になしたの?」
平静を装ってみた。
でも部活中以上に心臓はバクバク。
“なしたの?”じゃねーだろ俺!!
俺のコト呼んでくれたんだから、俺待っててくれたに決まってんじゃねーか!!
『あ....えっと....』
「高遠。俺らこれからミーティングあるんだ。ちょっと教室で待っててもらってもイィ?着替え終わったらすぐ行くから」
『あっうん!わかった!ごめんね急に』
高遠は後ろを向き、階段方向に、教室に向かおうとしていた。