巻き戻し 第三話-2
私はと言えばそんなたっつーを後ろから羨望の眼差しで見てるだけだった。
なんだかんだで親や先生に怒られるのが嫌で、寧ろ優等生的立ち位置だったはず。
だから誰かに怒られても自分のやりたいことやって笑ってるたっつーという存在は、私には無いモノを集めて出来た塊のようで、それは憧れて当然だったななんて改めて思う。
あれからかなり時間が経って、たっつーは専門に入ったという。
思えばこの選択はたっつーらしい。
彼ならば、そうだろうな。
そして今現在の私のこの選択。
これも私らしいといえば私らしい。
しかし私らしいといってもそれが私の個性なのかと問えばそれはまた別の話。
寧ろ私は没個性的だ。
そうに違いない。
だからこそ個性的に生きる彼らが羨ましく、また言い方を変えれば嫉んでもいるのだろう。
だからこそ、先のように専門生に対して“嫌な”見方をしてしまう。
しかしそうでもしなければ私は私の存在にすら危機感を覚えてしまう。
親に迷惑をかけないように、怒られないように、言われたままに生きてきたような私だ。
たっつーに言ったことも、言い方はあれどあれは本心ではない。
いや、本心なのかもしれないけど…違う。
戻れるなら、あんなこと言う前に巻き戻したい。
いや、小学生だったあの頃でもいい…。
とにかく謝らないと。
もうバーベキューなんて頭に無い。
目的が変わった。
しかしたっつーといえば変わらずに食事中。
よく見ればいつの間にやら私の友達と酒を交わしている。
久しぶりに見たたっつーはかなり格好よくなってるし、そりゃうちの女子共にも好印象だろうけど…。
だけど…。