侍BOYS!!〜一番ヶ瀬高校剣道部〜No.1-7
「樹、どう考えてもお前が悪い。きちんと謝れ」
部長が見兼ねて樹を諫める。
その言葉に不満を隠せないといった表情の樹も、しふしぶ「悪かったわね」と謝罪の言葉を口にした。
「…さて、何だかややこしくなってしまったが…」
再び微笑みをその顔に浮かべた部長が、人数の増えた新入生達に向き返る。
「もしかして、君達2人も入部希望?」
虎太郎と春海を交互に見て問い掛ける。
それに対して2人が頷けば、微笑みは崩さないものの、そのまま部長は首を傾げた。
「…本当に剣道部でいいの?最初から『弱小部』ってレッテル貼られてるんだけど…」
トーンの若干下がった声で再度問う。
不本意にも貼られてしまった、『史上最低の弱小剣道部』というレッテル。
しかし、あながち嘘でもないから剥がす事も否定する事も出来ず、部員数は減る一方。
部員が増えるのは嬉しい。が、そんなレッテル付きの部活で本当に良いのだろうか。
もっと他に良い部活がある…、そう言い掛けた部長の目に、満面の笑みを浮かべた柊の顔が飛び込んだ。
「大丈夫っスよ!!弱小部ってレッテル貼った奴らになんて負けないくらい強くなればいいんス!!」
「沈むだけ沈んだのなら、後は浮上するだけですね」
「下剋上っていい響きですよねー」
柊に続いて、虎太郎と春海も自身有りげに笑う。
何だ、どうしてこんなに前向きなんだ、と部長は呆気に取られたが、あまりのポジティブシンキングに思わず吹き出して笑ってしまった。
「ははっ!君達すごいな!そうだな、強くなればいいんだよな!うん!」
「どんだけよこいつら…」
「お前ら、何食ったらそんな前向きになれんの?」
盛大に笑う部長を尻目に、樹と良平の両名は半ば呆れ顔。