侍BOYS!!〜一番ヶ瀬高校剣道部〜No.1-6
「そ、」
「いやああああ!!!」
「「「!??」」」
部長が何かを発しようとした時、道場の玄関付近から何やら唯事ではない悲鳴が聞こえてきた。
互いに顔を見合わせた3人は、何事かと現場に向かう。
「このおおおお!!!」
「!!コタ!!!」
「「樹!!」先輩!!」
現場へと着いてみれば、そこで繰り広げられていたのは、悲鳴というより後半気合いの叫び声をあげながら、虎太郎の首を締め付けている男の姿。
「うおおお!死にさらせぇぇぇ!!」
「何やってんだ樹!!馬鹿やってないで早く放せ!!」
「止めないで慎!!こいつを抹殺しない限り、私に明日はないの!!」
「意味のわからない事を口走ってないでホラっ、放せ!!」
「ぐっ…う…、こっ…んのっ…」
「コッ、コタぁー!!」
「えー?これ、どうなってんの?」
ますますヒートアップする首締め男と、それを必死で止めようとする部長、苦しむ虎太郎、殺人事件を目撃して発狂した人のような柊、そして何が起こっているのか理解に悩む春海。
この混乱を打開したのは良平だった。
「樹先輩!落ち着いて下さい!!」
首締め男、樹を後ろから羽交い締めにした良平は、そのまま力任せに虎太郎から引き離した。
数秒間の苦しみから解放された虎太郎は、首に手をあてながらゴホゴホと咳き込んでいる。
「コタ!大丈夫か!?」
「何とか…ゲホッ…。…誰だよあのうるせぇオカマ…」
「まぁ。うるさいオカマとは失礼ね」
「…言われても仕方ないよ樹…。何でこんな事したんだ…」
「だって、見てよあいつの顔!!かんわいい顔しちゃって、私のファンの女の子達盗る気なんだわ!!」
「樹先輩…」
「うるさいわね!!出る杭は打たれるって言うでしょ!!私が打ってやろうとしたのよ!!」
「被害妄想も大概にしろよカマ野郎」
「…口が過ぎんじゃねーか?中坊あがりのジャリガキが…。あ?シバキ倒すぞコラ」
出会って間もないというのに、虎太郎と樹はまさに一触即発。
余程相性が悪いのだろう。