侍BOYS!!〜一番ヶ瀬高校剣道部〜No.1-4
「あ、いやあの…入部希望なんスけど…」
「…え?」
「だから、入部希望…」
「…何の罰ゲームだ?」
「…は?」
「誰から言わせられているんだ?」
「…どゆことっスか?」
「…?」
「…?」
男から繰り出される言葉が柊には理解出来ず、いまいち会話が噛み合わない。
「…お前、誰かの差し金とかじゃないのか?」
「差し金?誰からのっスか?」
「…えぇー?」
とうとう頭での処理が困難になりわからなくなってきたのか、男は竹刀袋を担いだまま腕組みをして首を傾げた。
目の前でうんうん唸る男を、柊は上目でまじまじと見やる。
此処に来たという事は、たぶんこの男は剣道部なのだろう。竹刀袋も持っているし。
見た目はとても剣道部には見えないような、着くずした制服とチャラチャラと揺れるアクセサリー。そして、唯一スポーツマンに見えなくもない坊主頭には、某グループのボーカリストのように線が2本交差して入っている。
身長はなかなか大きく、体格も良い。
「おい」
「ぅうっ、はいっ」
「お前、入部希望…なんだよな?」
「あ、はい」
「お前、なんで剣道部入んだ?」
「…はい?」
まさか。
まさかそこを質問されるとは思わなかった柊は、一瞬口をポカンと開けてフリーズした。
「あっ…すんません。…え…っと…、入りたいから…っスかね?」
柊がそう言えば、男は形の整った眉を中心に寄せて、柊に奇異の視線を送る。
「…お前、ここが何て呼ばれてんのか知らねぇのか?」
「…え?」
剣道部じゃねーの?一番ヶ瀬高校剣道部って名称だろ?
柊の頭に疑問符が浮かぶ。
「…どうやら知らねぇみたいだな、お前…」
「え…」
会って数分も経たないうちに、男は2回目の大きな溜め息を吐き出した。