君と繋がるもの〜Side:美奈〜-2
学祭当日になり、学校中がお祭り騒ぎのなか、あたしは、辛さを隠すために、仕事をしていた。
学祭も中盤になり、クラス別のリレーが始まった。
あたしたちのクラスのアンカーとしてけん坊が出場している。
でも、バトンを貰う直前にけん坊の様子がおかしくなった。
走りださすに、湊が走るのを凄い顔で見ていた。
私はいたたまれなくなって、けん坊にむかって叫んだ。
「早く走ればかぁ―――!!」
一瞬目が合って、けん坊は走りだした。
一瞬だったけど、繋がれた気がした。
どんどん人を追い抜き、湊と並んだ。
結果は同着だった。
「凄かったねー♪湊も早かったけど、追い付いたけん坊も凄い!!」
リレーから帰ってきたけん坊に話し掛けた。
でも、その顔は下を向いて、あたしの横を抜けて行った。
あたしの後ろでは、クラスの女子がけん坊に話し掛け、それに答える声と笑い声が聞こえた。
行き場の無くなった右手を握り、凄く悲しくなり私は1人、会議室で泣いた。
――コンコンッ――
ドアをノックする音が聞こえ、そっちを見ると……
腕を組んだ湊が立っていた。
すぐに涙を拭い、外を眺めた。
「何泣いてんだよ…??」
「………」
「あれだろ〜……変なもん拾い食いでもして、腹壊したんだ??」
「…違うもん。」
「じゃあ何だよ??」
半ばキレながら湊は言った。
「何でもない。」
けん坊の事で泣いてたなんて、口が裂けてもこいつにだけは言えない。
だってバカにされるに決まってるから……
「……拳哉か??」
すごく低い真面目な声がした。
あたしは言葉が出なかった。
「……んくっ……ひっ……うぅ」堪え切れずに涙が流れてしまった。
一度感情が出てしまうと止められない。私は湊がいるのも構わずに泣いた。
――フワァ…――
後ろから湊が抱き締めてきた。