DMAI1-12
「本当に2回も迷惑をかけてしまってすいません」
「それはいいですって」
現在リビングにはキューとキューの母親と一と恵美の3人。しかしキューは3人から少し離れたところで寝ていた。
「ただ、なんでキューは危ない目に遭ってまであんなこと?」
一が聞くと母親は少し困ったような顔をした。
「見ず知らずのあなたたちにこんな話をするのはどうかと思いますが………」
「2回も迷惑かけといて見ず知らずですか」
「そうですね」
母親は何かを決心したかのように話しはじめた。
「復讐なんです」
思ったよりも残酷な言葉が出てきて、一と恵美は驚いた。
「キューの父、私の夫はシャフトに殺されたんです。私たちの元々住んでいた地には、ある秘密があるんです。それに目をつけたシャフトが私たちを襲いあの地を奪ったのです。そのときの戦いで私の夫は………」
「そうですか………」
「未だにそれは見つけられてないそうなんですが………。10年程前にシャフトの長がチェックになってから、荒れ果てているんです」
「チェック!?」
今まで少ししんみりしていた一は突然大きな声をだした。
「なぁ恵美!」
「うん、そーねー」
「どうかしたんですか?」
今の大声でキューが起きてないかと確認してから母親は聞いた。
「最初に会ったとき、この街を守れって言われたって言っただろ?あれはチェックから言われたんだ!そして、おれの他の仲間には海賊を倒せって言ったんだ!つまり、敵同士におれたちは送られたんだ!だが………何をさせたいんだ?」
「あの………どうやら今日、ヘッドもシャフトも動くそうなんです」
「動く?」
「今までは冷戦のようなもので、キューみたいに変な動きを見せない限りはどちらも相手の様子を伺うばかりで戦いはなかったんです。それが………」
「海戦が始まったわけだな」
「えぇ………人質も恐らく何かされるのかと………」
キューの母親の言葉に皆沈黙になる。
「つまりー………どーゆーこと?」
「理解してねぇのかよ!この重っ苦しい雰囲気で逆にすごいわ!」
「海戦で私たちヘッドが勝ったら、あなたたちの仲間はやられてしまう。シャフトが勝ったら、あなたたち仲間は敵同士戦わなきゃならないのね」
「えー!?困るよー」
「だから悩んでるんだろーが!」
「いーえ、悩む必要はないですよ。早く逃げて下さい。そもそもあなたたちを巻き込ま理由がありません。私たちだけで戦います」
「いや………うちの仲間結構強いのがいるんで………」
「………本音を言えば、あなたたちの仲間が私たち側についてくれればいいのですが………」
「大丈夫ですよ」
「え?」
「おれの仲間は変なやつばっかだが、やるときゃやるんです」
「あたしは、変じゃないもーん」
「いいだろ!いいこと言いたかったんだよ!」
『ドーン』
一と恵美が言い合っていると大きな音がした。
「来ました………!」
「よしっ………」
「よーし………」
一と恵美が立ち上がる。
「カリスマに任せな」
2人で言うとキューの家を出ていった。