DMAI1-11
「くそっ………埒明かねぇ!」
一は立ち止まった。
「おい!あの人数じゃ勝てねぇぞ!」
「はっ………任せな」
「………」
自信満々に言う一にキューは驚いた。
(あいつ………やっぱり強いのか………?)
「恵美!」
「なーに?」
「助けてくれ」
「女に任せるのかよ!」
「あったりまえだ!あんなん相手できるか!」
一とキューが言い合っていると恵美は一歩前に出た。
「今は、護身用の、これしか持ってないのよねー」
そういい胸のあたりをごそごそし、ロープを取り出した。
「そんなもので何ができる!?」
「って大丈夫か!?もうすぐそこまで来てるじゃねーか!」
追っ手はすぐそこまで来ていた。もう今からでは逃げられない。
「大丈夫だ。恵美を信じな」
一はキューと違いとても冷静だった。
「いくわよー、えい!」
恵美はそう言うとロープを追っ手衆に向け投げた。
「なんだ?この攻撃は?」
「馬鹿にするのもたいがいにしろ!」
追っ手たちは笑いながら恵美との距離を縮めた。
「こんなもの!」
追っ手の一人がロープをたたき落とそうと腕をふりかぶった。
「!?」
殴ろうとしたその瞬間、ロープは急に伸び、孤を描き始めた。
「なんだ!?」
追っ手たちが立ち止まっているなか、ロープはひたすら追っ手の周りを何重にも回転した。
「まさか!?」
ロープは突然縮み、追っ手たちを縛った。
「一網打尽だな」
「くっ………!」
「すげー」
「どーだ、まいったかー!」
恵美の放った不思議なロープで一たちは危機を回避した。
「なんなんだ………あれ?」
「ロープのことー?あれはー、うちの会社の発明品ー」
「すげーんだな………」
「へへー」
一たちはキューを家に届けるため、キューの家に向かっていた。
「あ」
「げっ!」
「いなくなったと思ったら勝手に………!」
街でばったりキューの母親に会った。家にいない息子を探しに来たようだ。
「またあなたたちには迷惑をおかけしてしまいました………」
「あ、いえいえ」
「なんとお礼を言っていいのやら………」
「いえいえ………あ、お礼なら!」
「はい?」
「ひとまず居場所がないので、家に上げてもらえますか?」
「そうですね。行きましょう」
こうしてまた一たちはキューの家に行った。