なにげない一日-9
朝、トーストとサラダと牛乳で朝食をすませる。
時刻は8時。映画は10時半からなので、風呂に湯をはることにした。
お湯を貯めている間に、パソコンで投稿小説サイトを観る。待ち望んでいる連載作品の続きはまだ投稿されていない。
湯船が溜まったので風呂に入る。いつもはシャワーですませるが、やはり朝風呂は気持ちいい。
9時半に家を出て、駅前の映画館に向かう。
正午には映画は終わり、昼飯がてらファーストフード店でハンバーガーを食べた。もうすぐ昔なくなったチキンのハンバーガーが復活するのが楽しみだ。
映画はなかなか楽しめた。
2時に真也と待ち合わせて、ビリヤードをしにいく。最近のマイブームだ。
しかしそのとき。いきなり空が真っ黒に染まり、そこから巨大な光の塊が降りてきた。
「な、なんだ、あれ」
真也が言った。俺も唖然としてそれを見上げる。
それは、SF映画に登場するような、UFOによく似ていた。
「なにあれ、なにかの冗談?」
「そうだろ。映画かなんかだろ」
俺たちは当初、のんきにもそんなことを考えていた。だが、それが甘い考えであることを、すぐに思い知る。
UFOが、いきなり掃除機のノズルのようなものを下から出した。そして呆気にとられている俺たちを無視して、それはまるで人をゴミのように吸い上げ始めたのだ。
「な!」
驚いている暇はなかった。続いて友人の声が聞こえて、俺はそちらを見た。
「助けてくれー!」
「真也!」
真也は、瞬く間にUFOに拐われてしまった。
助けなければ。そうは思うが足が震えてなにもできない。ただUFOを見送るしかできないのか。
……逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ。
気がつくと、俺はUFOに向かって叫んでいた。
「待て! 俺も連れていけ!」