なにげない一日-2
「え、終わり?」
「あ、ああ、まあ」
「え、だってこれ、かけらも面白くないよ? ただの日記じゃん! こんなの文芸部集に載せる気!?」
「しゃあねえだろ! そうそう一般人の身に小説にできることなんて起こんねえんだよ! たまの休日にヒッチハイクで本州縦断するのなんてお前くらいだ!」
「しかも一人で映画観てマックって、あんたどんだけ暗いの!? オタク!? オタクなの!?」
「違うって! 隣に知り合いがいると落ち着かないから敢えて一人で行ってんの!」
「じゃあ、なにを観たのよ」
「……ヱヴァンゲリヲン」
「……」
「……」
「……あ、そう」
「なんだよ」
「なにも言ってないでしょ」
「いや言った! 心ン中でなんか言った!」
「言ってないって」
「いいか!? ヱヴァは決して単なるオタクアニメじゃなくてだな!」
「はいはいはいはい、どうどうどうどう。落ち着きなさい。とにかく、このまんまじゃ載せられないから」
「つーか、テーマがそもそも無茶なんだよ。部員たちの私生活小説にするとかさ」
「はい、もう文句言わない! 書き直し!」
「書き直しっつったって、ここ数日で一番イベントがあったのこの日なんだけど」
「……あんた、本当に……」
「……うるせえ」
「うん、こうなりゃ脚色ね。これを元に脚色を加えて、なんとか面白くするのよ!」
「いやお前、嘘はまずいだろ嘘は」
「嘘じゃなくて脚色! つべこべ言わない! じゃあ、こんなのはどうかな。“実はあんたは、真也君のことが好きだ”」