青に染まる少女-7
「もぉ〜、ちょっと待ち合わせ遅れたくらいで泣くことないじゃん。てか、このオジサン、誰?」
私を見ていた人懐っこい瞳が眼鏡の男に向けられる。
つられて私も眼鏡の男を見た。
「……っ!?」
思わず息を飲んだ。
眼鏡の男は酷く鋭い目付きで茶髪の男を睨んでいた。
青い瞳がその色を更に濃くしている。
「知り合い?」
「え……?」
急に茶髪の男に聞かれて戸惑う。
知り合いかどうかと聞かれれば、どちらも初対面である。
が。
「あーいちゃん?聞いてる?」
ニッコリと微笑む。
私はふるふると頭を振った。
「し、知らない、人……」
私が呟いた瞬間、前方で小さな舌打ちが聞こえた。
「そ。じゃ、行こっか」
立ち上がった茶髪の男が、私の腕を引っ張る。
よろよろと立ち上がると、眼鏡の男はきびすを返して走って行ってしまった。
「あ、逃げた。追う?」
茶髪の男が問い掛ける。
私が聞かれたのかと思い顔を上げると、彼は口元の小さなマイクに喋っていた。
耳にはイアホンが入っているから、誰かと通話しているんだろう。
「うん、分かった。りょーかい。すぐ行くよ」
彼はそう言うと口元からマイクを離してTシャツの襟元につけた。