青に染まる少女-4
昭奈の家は莉子の家から500メートルほど離れている。
行ったことはなかったため、クラス名簿の住所を頼りに歩いて探した。
15分ほど歩いて、ようやく目的の番地を探し当てた。
表札には『長谷川』の文字。
間違ない。
2階建ての家は洋館風で、その可愛らしさは負けん気の強い昭奈からはイメージできなかった。
インターホンを押すと、ビーッと呼び出し音が鳴る。
30秒ほど待ってみたが誰も出て来る気配はなかった。
留守だろうか?
もう一回、インターホンを鳴らす。
やはり反応はない。
留守だと確信し、私は力なくきびすを返した。
駅までは1キロちょっと。
重い足取りにはキツい距離である。
とろとろと歩いていると、涙が溢れてきた。
莉子はどこにいるのだろう。
昭奈はどうして自分を責めるのだろう。
千奈美は本当に昭奈のせいだと決め付けているんだろうか?
涙が零れてきたので、なるべく意識しないように足を早めた。
鼻水をズズッと啜り、唇を噛み締める。
秋の風は夜の空気を孕んで、肌を冷たく吹き抜けて行った。
その風と共に何かが私の右腕に張り付いた。
「チラ……シ?」
それは、白いB5判のチラシだった。
『探し人お探しします。
迷い猫から指名手配犯まで。
誘拐から神隠しまで。
どんな探し物も必ず見つけてみせます。
駅から徒歩2分
T*S事務所』
探偵、とかいうものだろうか?
なんともうさん臭い謳い文句である。
馬鹿らしい。
私はチラシをくしゃりと丸めた。
ゴミ箱はないかと辺りを見回す。
いつの間にか駅の近くに来ていて、夕暮れの道を多くの人が行き交っていた。
辺りを見回しながら、ふと、電器屋が目に入る。
そこは駅前の商店街の入口で、小さなショウウィンドウに『地デジ対応』のポップをつけたテレビが飾られていた。
私の目は夕方のニュースを流すそのテレビに釘付けになった。