青に染まる少女-15
「つまり、拒否権はなかったわけだ」
空になったらしい紙コップを振りながら、志臣はニヤリと笑う。
意地の悪い一面に、私は彼の多重人格を確信した。
「何それ……」
なんだか不愉快で唇を尖らせたところで、スピーカーから閉店案内の音楽が流れ始めた。
「とりあえず、詳しい話は事務所でだな」
立ち上がった志臣が私の紙コップを取り上げて、スタスタと歩き始める。
私も慌てて鞄を掴み、彼の後を追った。
日常が変化してきている。
私、どうなっちゃうんだろう?
冷え込み始めた秋の夜を歩きながら、私は考えていた。
「莉子……」
志臣は、私の協力で生きて助けられる可能性が高くなると言った。
助け出して見せる。
私は唇を引き結んで、星のない空を睨んだ。