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『Summer Night's Dream』
【青春 恋愛小説】

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『Summer Night's Dream』その3-5

「まあ、夢の中では自分でも無意識な行動を取ることが多い。特に悪い夢を見てる時なんかは、自分でもコントロールできずに思わぬことをしでかしてしまう物だ」


落ち着いた声で水嶋がそう言った。


「重要なのはそのキーワードと場所だ。資料室で探すとなると、十中八九見当が付く。本かビデオだろうな、恐らく」


いや、そりゃそうだろうけど。当たり前のことをさもしてやりましたという感じで言ってますけどね、資料室に一体何百冊の本やテープがあると思ってるんですか。
陽介はそう反論した。


「日向。真実を探求する者にとって、一番大切なことは何だ」


質問に質問で返されて、陽介は眉をひそめた。
水嶋は右手で力こぶしをつくって、バカでかい声でこう言った。


「努力だ!」


最終的には精神論で解決しようということらしかった。
根性で全ての資料をくまなく調べ尽くせ、と言ってきたに等しい。
見た感じ、水嶋は利発で公園のベンチに座って文芸書でも読んでいそうな好青年なのだが、頭の中は熱血単純なので、こういった体育会系のノリに近い発言が目立つ。
さくらがきょとんとした表情をこちらに向け、


「この人、大丈夫なの?」


と小声で囁いた。


「大丈夫かどうかは保証できないけど、情報は正確だから」


陽介も小声になって、耳元でそう言った。
オカルトに対しては真摯である水嶋部長を、今は信じるしかない。




「日向君の部活って、面白い人多いよね」


学校からの帰り道で、さくらがそんなことを言った。
今日の夜もまた学校に来ることになったので、一度家に戻る途中だった。


「それはつまり、奇人変人の集まりってこと?」


隣に腰掛けているさくらの肩が、電車の揺れに合わせて陽介の肩に当たった。
窓の外を夕暮れ色に染まった海が流れていった。
いつもなら迎えの車が来るのだが、その日、彼女は黙ってウチの部室棟まで来たので帰りは電車になったのだという。
陽介はリムジンに乗ったさくらの姿を想像した。


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