美奴隷・女として(1)-6
「あの、先生には親切にして頂いています、
でも私最近教室は何故か居づらいのですが」
「そうですか、でもあまり気にすることはないよ」
「はい、でも私辞めようと思うのですが」
「美奈子さん、よければ今から私のアトリエに来たらどうですか、
気晴らしにでも」
「えっ?よろしいのですか?」
「勿論、貴女なら特別ですよ」
電話の中で先生は優しく言ってくれました、
私はそれを聞いて決心しました。
「では、先生これから伺いますね」
「どうぞ、待っていますよ」
(5)
私は車で、先生が電話で言ったマンションに付きました。
そのマンションは3部屋ほど有り、
その1部屋をアトリエとして使っているようです。
私は先生が独身で、一人で生活していることを電話で知ったのです。
もし先生に奥さんがいると聞いたら私は行かなかったと思います。
先生は滅多にアトリエに人を招くことは無いと聞き、
私は嬉しい気持になりました。
今思えば、控えめな私が一人で男性の家を訪れること等
考えられないことでした。
私が先生のマンションの部屋を訪れ玄関に入ったとき、
何故か女性の靴がありました。
「先生、誰かお客様ですか?」
私は聞いたのです。
「いや、誰も」
そう言われると、私はあまり気にもせず
先生の後について部屋に入りました。
私が見たアトリエはそう広くなく、
そこには沢山の画材やキャンバス等がありました。
書きかけの絵や、デッサン帳など部屋の隅に立てかけてあるのです。
私は先生に言われて部屋の隅にあるテーブルの前の椅子に座っていました。
先生が私にコーヒーを入れてくれると言うのです。
暫くして先生が入れてくれたコーヒーを二人で
飲みながら私はほっとしました。
今まで窮屈に真面目に生きてきて、
それから解放されたような気持になるのです。
熱い褐色の液体が喉元を通っていくと何故か心が満たされる気がしました。
最近の私はこんなに心が満たされたことが無かったからなのです。
先生はそんな私を見ていてとても嬉しそうでした。