君と繋がるもの〜1〜-1
女子というのはどうしても群れたがる性質で、
自分達の集団には必ずといっていいほど名前が付いている。
その為か、男子はその輪に入ることや、まして近づくこともままならない。
そんな中で僕 笠谷拳哉(かさたに けんや)は何故かその輪の中にいた。
生まれてから15年、どの写真にもどの記憶にも僕は女子といた。
別に男子が好きとかお姉系とかでもない。
男子にも友達はいるし、女子を好きにもなる。
たぶんこれはあいつのせいなのかもしれない…………
そして俺はあいつのことが……
『けん坊…………ごめん…ね』
【第一幕 出会い】
いつからだっただろうあいつが僕を『けん坊』と呼ぶようになったのは………
「は〜い!じゃあお隣の子と手をつないで離れないように歩きましょうねー」
「はーい。」
遠足で浮かれている子供たちは大きな声で返事をし、隣の人と手をつないだ。
「ねぇ!!」
突然隣から声が聞こえてきた。
「へ?」
「あんた……おとこの子?おんなの子?」
そこにいたのはおかっぱの女の子だった。
「おとこ…の子だよ。」
「へぇ〜。おんなの子みたいだな。」
無邪気に笑うその子は
一瞬にして僕の心の中に入り込んできた。
「あたし、みな。あんたは?」
「…………かさたに…けんや」
「けんや君かぁ。ねぇ手つなごうよ。」
そういってあいつ 垢月美奈(あかつき みな)は僕の手を掴んだんだっけ……
その頃僕は親の離婚から引っ越しをし、幼稚園にも馴染めずにいつも1人でいた。
だから遠足でも手を繋げずにうじうじしていたんだ。
「けん坊はどこからきたの?」
「…けん…ぼーぅ?」
「うん。なんかうり坊みたいだからけん坊。」
(けん…ぼう……)
「ほら!!いこっ。」
正直あいつの第一印象は悪かった気がする。
初対面から性別聞いてきたり、変なあだ名付けられたり…
でも凄くうれしかったのも覚えている。
これが僕と美奈との出会いだった。