エリザベスドール・最終回-9
さようなら…
我が愛する娘よ。
ジーナは消えた。
エリザベスの方は…
完全に動かなくなっていた。
今見ると…
ボロボロになった、ただの人形である。
「ジーナ…」
アースルはデスクにいつも置いている写真立てを目にした。
亡き妻と、ジーナと一緒に撮った家族の集合写真である。
ジーナが旅立って、改めて寂しさを感じてしまう。
でも、ホッとした気持ちにもなっている。
娘の魂が救われたのだから。
人形はその後…
アースルの手によって、焼却された。
灰は、ジーナの墓の傍に埋められたのだ。
ところが…
真夜中…
墓地は深い霧に包まれていた。
エリザベスは土の中から這い出て来た。
元のキレイな体に戻っている。
辺りを見回すエリザベス。
「エリザベス、お姉様」
背後から呼ぶ声に、エリザベスは振り返った。
同じ姿の人形が歩いて来る。
「ローズマリー」
人形はエリザベスの双子の妹…ローズマリーである。
「やっと見つけたわァ」
活発なエリザベスと違って、ローズマリーの方はおしとやかである。
「私を捜してたの?」
「そうよ。もう、五百年以上も捜してたのよ。
私ィ、ずっと…寂しかったわ」
とまあ、ローズマリーはチョッピリ寂し気。