エリザベスドール・最終回-8
「お嬢様がなさっていた事は、神の裁きを受けるに等しい行為です。
お分かりですかな?」
「どんな裁きでも受ける覚悟はあるわ」
まるで、悟り切ったような態度を取るジーナ。
だがそれは…
アースルにとっては、納得のゆくものではない言い方である。
「忘れろ、何もかも。
あの男の事も、エリザベスの事も全てをだ。
お前はもう、この世界に踏みとどまる事は出来ない」
ジーナ、しばらく考えて…
「ルークの事だけは…
忘れたくないの」
「だったら…
向こうで、あの男を見守ったらイイ」
「…」
「私の言う事を素直に聞くんだ」
「お父様…」
「死んだ母さん…
(妻マーガレット。5年前の屋敷の火災で死亡)
が、向こうで、お前を待っているだろう」
「お父様…」
うなずくジーナ。
「我が娘よ…
(目に涙をためながら)
今度こそが…
本当の別れだ」
アースルはセデス聖導士に目配せした。
セデス聖導士は手に持っていた杖をジーナの前に突き出した。
「迷える魂よ、神の元へ。天に召されよ!」
光を放つ杖。
ジーナの体は…
黄金の光の粒子に包まれてゆく。
ジーナ…
穏やかな表情で…
ジッと父親を見つめている。