エリザベスドール・最終回-7
静かな口調で声をかける。
「ジーナお嬢様ですね?」
「ええ…」
ゆっくりとした口調で答えるジーナ。
生きていた頃と同じ姿、同じ声にアースルは懐かしさを感じた。
セデス聖導士の質問は続く。
「今までお嬢様は、どこで何をしておられましたかな? 今から10年前に亡くなったから…
本来なら今頃、天上界にいるハズです」
「…」
「なのに人形に憑依し、今はこうして我々の前に姿を見せた」
「…」
アースルが口を挟む。
「質問に答えなさいジーナ。ずっと、エリザベスに憑依してたのだな?」
「ええ、そうよ」
ジーナ、初めて質問に答えた。
「そして…、ルーク・ハリーと言う青年を愛した」
「彼は、私の人形を大事にしてくれた。だから私…彼に感謝したの」
「その感謝の気持ちが…、段々と愛する気持ちに変わっていった」
「彼って、とても素敵だったから」
やはり…
アースルの思っていた通りだった。
人形が動くキッカケとなったのは…
ジーナ自身のルークへの強い思いによるものと、想像していたからだ。
アースルは質問した。
「あの男に対するお前の気持ちは…、今も変わらないのかな?」
「変わらない。今でも私、ルークを愛している」
今でもジーナは、ルークへの思いが強かった。
それはそれで、悪い事ではないが…
「だからと言って…
何の関係もない人間を殺してもイイって理由には、ならないだろう。
ルーク・ハリーはお前のせいで、今でも辛い思いをしているんだ」
「…」
ジーナは何も言えないようだ。
セディが口を挟む。