エリザベスドール・最終回-6
バード、スミス、チャット、ロング…いずれも、セデス聖導士の御弟子である。
セデスが指をパチンと鳴らすと…
同じ黒衣装をまとった5人目の御弟子のガウディオが木製の棺を持って来た。
棺は赤い敷布の上に置かれ、蓋が開けられた。
中にはエリザベスが入っている。
銃撃を受けて、蜂の巣だらけの無残な姿になっていても…
エリザベスはまだ動いているところが、何とも不気味だ。
だが、セデスによって特殊な術をかけられ…
棺に固定されているから飛び出す事は出来ないのだ。
教典を広げたセデス。
手に金色の杖を握り締めたまま、祈祷を始める。
アースルはテーブルから少し離れた場所に立っていた。
セデスの交霊儀式を見ているのだ。
果たして…
娘ジーナの霊は現われるのだろうか?
人形騒動は治まった。
後は…、
この世を彷徨うジーナの魂の救済だけである。
愛する娘が天国へ旅立って行かなければ…
全ては終わらない。
時間は夜の11時近くを回っていた。
風もないのに、キャンドルの火が揺れ始める。
アースルの背筋に悪寒が走り始めた。
何かの気配を感じたかのか…
セデス聖導士は祈祷を中断して、目を閉じた。
「お見えになられたようです…」
アースルは固い表情で辺りを見回す。
「どこに、いるんだ!」
「旦那様の方から、お呼びなるとイイ」
「ジーナ! ジーナ!
どこにいるジーナ!?」
すると…
部屋の大扉がゆっくりと開いて、人型の半透明の物体が姿を見せた。
まぎれもなく…
人である。
ゆっくりとした歩調で、こちらへ歩いて来る。
ヘヤースタイル、顔の輪郭、体型… ジーナそのものである。
物体は段々と、姿をハッキリとして来た。
セデス聖導士は立ち上がり、物体へと歩み寄った。